社会保障機能は公が引き受けるのが世界的トレンド
恐らく、企業は従業員に対し〇〇円払うべきだ、というべき論を言う人もいるだろう。でも、その結果は、その〇〇円に値する人間のみが雇用されるというだけの話で、終身雇用の柵内に一部の人しか入れてもらえない構図と同じである。
これは「大きな政府か、小さな政府か」議論とはまったく関係のない議論で、企業に社会保障機能を背負わせているのがそもそもの間違いなのだ。
「じゃあ低賃金の人はどうすればいいんだ!?」
と思う人もいるだろうが、それをカバーするのは、本来は行政の仕事である。
実際、高福祉国の代表であるスウェーデンには法定最低賃金は存在しないし、企業に背負わせた社会保障機能を(給付付き税額控除等の現役世帯向け社会保障で)公が引き受けるというのが世界的なトレンドだ。そのトレンドに逆らって企業に負担増を強いたところで、より負担の少ない国に雇用自体が流出するだけだろう。
実際に読んでみると、日本維新の会のマニフェストにはしっかりと「負の所得税」(給付付き税額控除)が明記されているから、きちんとこのトレンドを踏まえているということになる。