先日発表された日本維新の会のマニフェスト(骨太2013-2016)に「最低賃金の廃止」「解雇規制の緩和」が含まれていて、ネットの一部で「過激だ!」と話題になっているという(筆者も複数のメディアからコメントを求められた)。どうも「時給が底抜けにどんどん下がり、従わないとガンガン首を切られるんじゃないか」という点が危惧されているようだ。
もちろん実際にそんなことはないのだが、いかんせん代表のキャラが立っているので「自分も大阪市職員のようになるのではないか」と思われているらしい。というわけで、簡単に論点を整理しておこう。
最低賃金廃止であらたな仕事が生まれる可能性も
たぶん、上記のような危惧を持っている人の多くは、漠然と「最低賃金700円か、仕方ない、うちの従業員には700円を支払おう」と地団太踏んでいる経営者がいっぱいいると想像しているのだろうが、そういう経営者は実際にはほとんどいない。
日本の最低賃金というのは地域ごとに労使、公益の代表が話しあって地域の実情に見合った水準に決めているので、最初から払えるような水準でしかないからだ。
だから実際には「時給700円までしか払えません」という企業があって最低賃金700円が決まると考えてもらっていい。要するに最低賃金というのは現実の後追い数値であって、それをなくしたから現実に貰っている給与が底抜けするというのは本末転倒である。
逆に言うと、一部政党の「最低賃金を1000円に上げさせます」という公約にも何の意味もない(生産性が上がって業績が向上しないかぎりそれは不可能だし、無理やり法律で上げさせれば失業者が増えるだけだ。経営者は割高な人件費を払ってまで従業員を雇い続けるメリットなどないから当然だろう)。
むしろ、最低賃金をなくすことで、これまでは需要があっても無視されていたり海外に流れていた仕事があらたに国内に生まれる可能性がある。グローバル化で企業の選択肢が多様化する中、これは重要な視点だ。