面接で「転勤、もちろんOKです」と答えたのはウソだったの!?

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   人間にとって「転居」は大きな事件である。現在の住所から遠く離れた場所に転居したうえで、勤務地も異動する「転勤」は、かなり強いストレスを伴うものだろう。

   日本のサラリーマンにとって、転勤は珍しいことではなく、「ノー」と言えないのが当たり前だった。しかし、ある会社では、転勤を拒否する若手社員が続出し、人事が頭を抱えている。

「だって、そう答えなきゃ内定もらえないでしょう」

――サービス業の人事です。当社ではここのところ毎年20人前後の新卒社員を採用しています。事業の成長性だけでなく、学生時代の専攻にかかわらず幅広く採用し、教育制度を整えているところも評価されています。

   就職難ということもあり、「優秀だが大手から漏れた」という応募者が来てくれて、充実した採用が確保できていると自負しています。

   ところが、そういった人材が配属後に退職を申し出るケースが増えています。特に地方の事業所への転勤を命じた途端に、拒否して辞める人が多いです。

   もちろん採用時には転勤の可能性について説明し、「全国どこでもOKです」という返事を確認しています。しかし、実際に転勤を命じると、

「OKと言わなければ内定をもらえないと思ったので…。まさか本当にそうなるとは思いませんでした」
「面接のときはそのつもりだったんですが、彼氏と結婚の話が出ていまして…」

といった言い訳が返ってきます。転勤後に退職する若手社員もいて、「やっぱり地方暮らしは慣れないし、友だちもいなくて」と、なんだか子どもみたいな理由で辞めていきます。

   就職難で、守れない約束までしてしまう若者が増えたのでしょうか。教育コストがムダになるうえ、各支店の人員計画も狂ってしまい支店長から人事にクレームが入ります。この流れをなんとか抑止したいのですが、どうしたらいいでしょうか――

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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