東京・六本木のITベンチャーが、ランチに「まかない飯(飲食店の従業員用に作られる食事)」を提供してくれるお店を募集している。食事の対価は「ウェブサイト作成」。自社の技術やノウハウと引き換えに、地元に「社員食堂」を確保しようという試みだ。
社員食堂の契約期間は、半年間。社員5人分のランチを毎日提供してもらい、飲食店の魅力を味わいながら、ウェブサイトの作成やリニューアル、ソーシャルメディアを使ったプロモーションのアイデアなどを無料で提供していく。
食事と技術・アイデアの「物々交換」目指す
「まかないプロジェクト」を企画したのは、博報堂・DeNAなどの出身者たちが立ち上げたタイマーズ。平均年齢24.4歳の若い会社だ。写真や情報を2人だけで共有できるカップル専用アプリ「Pairy(ペアリー)」を開発している。
飲食店の応募条件は、六本木・乃木坂駅の徒歩圏に店舗を構えていること。午後1時から4時までの間、毎日まかないを提供できることが必要だ。
プロジェクトのリリースによると、DeNAやグーグルなどのIT大企業が設置している社員食堂に刺激を受けたようで、
「某渋谷の球団所有ベンチャーや某六本木のグローバル検索会社に負けない、期間限定の無料の社食(昼食)を手に入れよう」
と意気込んでいる。しかし、小さなベンチャーには、専用の社員食堂のためにいきなり投資することは難しい。そこで着目したのが、普段なにげなくランチを食べに行く「地域の飲食店」だった。
タイマーズのCEO・高橋才将氏によると、もともとは「会社と地域コミュニティとの新しいつながり方ができないか」と考えたところから発想が始まったという。いわば、飲食店の「料理」と、ITベンチャーの「技術・アイデア」の物々交換だ。お店と会社との有機的なつながりをつくり、自社ができることで地域に貢献したいという思いもある。
申し込みの締め切りは2012年12月10日だが、すでにいくつかのお店から引き合いがある。海外からは、英国のスタートアップベンチャーがコミュニティを活性化させるアイデアのひとつとして、話を聞かせてもらいたいというオファーも来ているようだ。