商品開発から財務まで、会社の中核を担う
アクチュアリーの資格取得には、1次試験で「数学」「生保数理」「損保数理」「年金数理」「会計・経済・投資理論」の5つの学科試験を合格したあと、2次試験の「生保コース」「損保コース」「年金コース」のいずれかに合格しなければならない。
2次試験の専門科目で実務に絡む論述問題も出ることから、在学中の学生の合格者は珍しい。会社に勤めて保険や年金の実務をこなしながら、プライベートの時間を削って勉強をしている人が多いという。
5年程度で全科目に合格する人は早い方で、10年近くかかる人も珍しくない。それでも、資格を取得すれば保険会社の中核となる仕事にかなり就きやすくなる。
「保険商品の保険料や解約返戻金を計算するには、将来の不確実性の分析が欠かせませんが、ベースとなるシミュレーションはアクチュアリーが主導します。また、会社の収支予測を行い、必要な責任準備金などを算出する財務の仕事にも重要な役割を果たします」(加藤氏)
膨大なデータを扱い複雑な計算を行ってアクチュアリーが提供する資料が、経営判断を大きく左右することもある。そのため、数理的な試算だけでなく、判断のための分かりやすい説明までが必要だ。加藤氏いわく、「数学と国語の両方が必要」ということだ。
大学で専門性を身につける必要性が強調されている昨今だが、身につけた理論的な学問が、実際のビジネスの場で展開されることの面白さもあるに違いない。世の中にはこんな仕事があることを知っておいてもいいだろう。