人を採用するときには「ネットで氏名を検索」するのが鉄則だ

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履歴書にある出身校の「学部名」も要確認

   原本確認は当たり前であるが、実際には「原本は実家に置いてあり取りに帰れない」と言い訳されたり、「まさかお医者さんが人をだますことはないだろう」と思い込んだりして、コピーで済ませてしまうこともあるのだろう。職務上不可欠な資格については、何が何でも原本確認を徹底しなければならない。

   履歴書上の学歴・職歴等の記載事項も注意深くチェックする必要がある。ニセ医師であると発覚したのは、男が履歴書に記載した大学の学部名が実在しないことが分かったからだった。これについても、選考の段階で大学のホームページを確認していれば簡単に気づけただろう。

   さらにやっかいなのは、最近「アリバイ屋」という悪徳サービスが横行していることだ。実態のない会社を設立登記し、その社名で源泉徴収票や雇用証明書を販売して経歴詐称に加担するそうだ。

   「原本」ですら鵜呑みにできないと思うとやりきれなくなるが、そのような場合には、その会社に電話する、住所地を訪問してみる、求職者にその会社での経験を細かく質問するなどすれば、ぼろを出すかもしれない。

   相手を疑ってかかるのはよくないが、人を雇うというのは会社にとって重要な投資である。どんなに美しく書かれていても、履歴書は求職者本人が作成するものであり、内容が真実だという保証はない。採用担当者も、監査人と同じく健全な懐疑心をもって、入念にチェックしたいものだ。(甘粕潔)

甘粕潔(あまかす・きよし)
1965年生まれ。公認不正検査士(CFE)。地方銀行、リスク管理支援会社勤務を経て現職。企業倫理・不祥事防止に関する研修講師、コンプライアンス態勢強化支援等に従事。企業の社外監査役、コンプライアンス委員、大学院講師等も歴任。『よくわかる金融機関の不祥事件対策』(共著)、『企業不正対策ハンドブック-防止と発見』(共訳)ほか。
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