社会保険労務士・野崎大輔の視点
「不合格なら内定取消し」は法的に可能
内定通知書を発行していない場合であっても、内定を取り消すときには合理的な理由がなければ「解雇権の濫用」に当たり、無効という法的判断が下されるおそれがあります。解雇できるのは、面接時に知ることができない事実があり、社会通念上相当な事由があると認められる場合だけです。例えば、試用期間や本採用前に経歴に詐称が発覚しその内容が採用基準に大きな影響を及ぼすときや、健康を著しく害して勤務ができないとき、逮捕・起訴されたときなどが考えられます。
採用基準となっている学校を卒業できなかった場合も内定取消しは可能ですので、今回の「宅建不合格」も同様に取り扱うことができます。しかし、法的に問題がないとしても、間もなく合格か不合格かが決まることは分かっているので、内定を出す場合には求職者にその旨を説明する責任があります。合格日まで会社の判断を延期するか、「資格が取れなかった場合には内定を取り消す」と説明した上で求職者に判断を委ねるべきでしょう。
なお、宅建業法では、事業所の従業員の5人に1人は宅建の有資格者でなければならないと定められていますので、注意が必要です。