「年長者を養うためにコキ使われるのはバカバカしい」
実は筆者の知人にも、数年前に大学病院を飛び出してフリーとして活躍する医師がいる。労働市場を通じてスキルを売ることで、氏の年収は勤務医時代の3倍にもなったそうだ。以下は氏の言葉だ。
「能力や意欲の低い人間、年功序列の名誉職にふんぞり返っている年長者を養うためにコキ使われるのはバカバカしい。またそんな身分のために、意味のない雑用までやらされるのもバカバカしい。優秀者は組織を飛び出して、組織と対等な関係で再契約した方がいい」
労働市場の流動化というと、なんだかハードルが高そうだと感じている人も多そうだが、実はイニシアチブを握っているのは(優秀な)労働者の側である。
彼らが「生産性に応じた賃金を寄こせ」と公然と要求し始めた時、古い秩序は音を立てて崩壊するだろう。個人的には「ドクターX」がそこまでやってくれるかどうかに注目している。(城繁幸)