世界で勝てないのは「日本人サラリーマンのライフスタイル」が原因だ

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「人間らしい」活動をすることから始めよう

   日本の大手電機メーカーが復活するには、製品に技術以外のプラスアルファの価値をつけるしかないと思う。これは前述のように日本の伝統の深いところにまで関係している問題であり、困難な課題だ。しかし改革は不可能ではないはずだ。

   どうすればよいか? エンジニアをはじめとして、マーケターや経営幹部を含めた日本のサラリーマンの生活パターンを変えることにつきる。今後は生活の一定割合は、技術以外のことに振り向けることが重要だ。

   日本のサラリーマンには、衣食住にこだわりが少なく、女性や若者の動向に無頓着で、文化や芸術に無関心、という人が多い(もちろん例外も多数いるが)。

   iPhoneのような製品を生み出すためには、技術の可能性を追求するだけでは足りない。日々の生活を豊かに過ごすことを最優先し、私たちに足りないのは何か、どんな商品やサービスが私たちを豊かにするのか、深く考えることが必要だろう。

   そのためには、組織集団に従属するのではなく、個人を大切にした「人間らしい」活動に時間を当てるべきだろう。まずは長時間労働をやめ、終業後の同僚との飲み会も減らす。ぼんやりとテレビを見る時間を少なくし、落ち着いた思索ができる時間と場所を確保することも欠かせない。(小田切尚登)

小田切尚登
経済アナリスト。明治大学グローバル研究大学院兼任講師。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバ等の外資系金融機関で株式アナリスト、投資銀行部門などを歴任した。近著に『欧米沈没』(マイナビ新書)
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