アップルの下請けでは利益が少なすぎる
日本の多くのサラリーマン家庭では、伝統的に妻が家庭内のマネジメント全般を取り仕切ってきた。衣食住、家計、子どもの教育、家族の健康管理や冠婚葬祭等々、生活に関する重要な事柄のほとんどは妻が牛耳ってきた。
そのため夫であるサラリーマンは、「生活」にはタッチしない状況が続いてきた。このシステムのおかげで会社の仕事に専念できたが、一方で技術のことしか考えることのできない単細胞エンジニアが大量に生み出されることにもなった。
わき目を振らずテクノロジーを追及するというのは、ノーベル賞を狙うような科学者にとっては正しい態度かもしれないが、人間が使う商品を作る観点からは問題だ。技術ばかりを重視すると、使う人に魅力的でないものとなってしまうおそれがある。
日本のメーカーは純粋に技術の勝負であれば、まだまだ強い。たとえばiPhoneには日本の技術が多く貢献しているので、今後は電子部品や素材メーカーとして生き残ればよい、という意見がある。
しかし、部品メーカーのマージンは低めに抑えられる傾向にある。カリフォルニア大のケネス・クレーマー教授他の研究(2011年7月付)によると、iPhoneの売上のうち、日本の企業が受け取った利益は全体のたった0.5%であるという。
一方、アップル社自身の利益率はなんと58.5%にのぼる。あなたがiPhoneを買うのに支払った金の半分以上は、アップルの儲けとなっているということだ。iPhone5になって日本メーカーが部品に占める割合は増えたそうだが、やはり最終製品を握れない会社は弱い。