営業には「人見知り」の方が向いていると思う理由

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ライバル会社の営業マンに契約を横取りされる

   ある日の昼休み。昼食を食べて職場に戻ると、取引先からの伝言が机の上に置いてありました。

「電話があったことをお伝えくださいとのことでした」

   Sさんは「急ぎであれば『折り返しかけて』と言うだろう」と早合点して電話せず、夕方に直接その取引先を訪ねると、担当者が不機嫌な顔をしています。

「さっき電話したんだけど、連絡くれないからヨソに注文してしまったよ」

   実は今日のアポでもらうことになっていた契約書と同じような機能の商品について、午前中に訪ねてきたライバル会社の営業から、大幅に安い提案があったとのこと。

   おまけに「この場で注文いただけるなら値引きさせていただきます」と結論を迫ってきました。ここで取引先の担当者は「付き合いが半年になるSさん」との契約を優先するか、それとも「粗削りだが熱心なライバル会社の営業」を取るか迷いました。

   検討のために2時間の猶予を求め、Sさんに電話をかけましたが返事はありません。ちょうど2時間が経過したところで、ライバル会社の営業が電話をしてきました。

「御社のオフィスの1階におります。お伺いしてよろしいでしょうか?」

   その営業マンは、会社のそばで待機していたのでした。ここまでされては契約するしかありません。この顛末を聞いたSさんは、うなだれるしかありませんでした。仕事に慣れてきた一方で、何か雑になっているんじゃないか、と言われた気がしました。

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
「高城幸司の社長ブログ」
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