社会保険労務士・野崎大輔の視点
強制なら「深夜労働手当」を支払う必要がある場合も
会社が社員に求める研修等の受講にあたっては、上司の指示がある場合には業務命令となりますので、当然労働時間としてカウントされます。自宅で行われる場合でも「持ち帰り残業」とみなされますし、午後10時以降に行われる場合には「深夜労働手当」として通常の25%増しの賃金を支払う必要があります。
社員本人の希望で受講する場合には、労働時間にはなりません。ただし、表向きは任意受講であっても、未受講者の人事評価をマイナスにするなど不利益な措置をとる場合には、実質的に強制参加と判断されるので注意が必要です。なお、自宅で受講するなど実際にかかった時間を確認することができない場合には、「標準受講時間」を決めて、その時間分をカウントするようにしてもいいでしょう。なお、強制される学習がきっかけとなって自主的な学習に結びつくこともあるので、強制がいけないとは言いませんが、学習は主体的にやった方が身につくのは間違いないと思います。
(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。