地方のIT企業にも「埋もれた人材」がいる
なぜここまでして、地方の人材を求めに行くのか。ベースには高額な報酬で取り合いになっている都市部の人材の枯渇があるが、それ以外に、地方の人材ならではの強みや採用メリットもあるという。
「遊び場の少ない地方の学生には、逆に開発や研究に没頭できていたという利点があります。名前が知られていないがスキルが非常に高い『オタクなエンジニア』が埋もれていることがあるのです」(VOYAGE GROUP人事本部本部長・後藤尚人氏)
J-Paymentの井口氏は、地方のIT企業の中にも埋もれている人材がいるという。
「地方のソフトウェア開発会社には、受託開発を中心に取り組んでいる企業が多く存在します。顧客の要望に応えるため、さまざまなプロジェクトに取り組んだ経験を持っており、幅広い分野や開発言語に関する知識を身に着けている方が多いと感じています」
サイバーエージェント人事本部の松山雄太氏は、最近採用実績が増えている大学として、公立はこだて未来大学や会津大学、筑波大学、奈良先端科学技術大学院大学の名前を挙げた。いずれも、情報技術系に特化した学科を持つ大学だ。
地方学生や地方在住のエンジニアは、一般的に就職に対する意識が低く、情報も入りにくいという話も聞く。しかし、「地元でボチボチやればいいや」とのんびり構えていた人でも、高い報酬と大きなミッションが提示されると心が動くのかもしれない。
12月になると「就職活動」が解禁される。地方から異能を発掘して、業界に新風を巻き起こす会社が出てくることを期待したい。(岡 徳之)