「上皮内新生物」は保障対象外となる保険もある
古屋氏によれば、保障対象を自分で確認するには、がん保険の約款だけでなく、ネットのデータベースを見る必要があるという。東京大学の「標準病名マスター作業班」というサイトで病名を検索し、それがどういう種類のものであるかを見ることができる。
「標準病名マスター病名検索」の検索窓に「カルチノイド」と入れると、食道カルチノイド、胃カルチノイド、虫垂カルチノイドなど23項目がヒットする。ここから「肺カルチノイド」をクリックすると、この病気が「C34.9 気管支及び肺の悪性新生物,気管支又は肺,部位不明」の一種であることが分かる。
この番号は、世界保健機関(WHO)が作成し、厚生労働省が採用した「ICD-10コード」。保険会社の保障範囲は、これを基に決められていることが多い。オリックス生命のがん保険「Believe(ビリーブ)」を例にとると、悪性新生物の保障対象は「C00~97」と「D00~09」をカバーしているので、肺カルチノイド(C34.9)にかかっても保障が受けられることになる。
「粘膜の上の『上皮』という層の内側にできるがんを『上皮内新生物(コード:D00~09)』といいますが、弊社のBelieveではこれも保障対象としています。保険会社の中には対象外としているところもありますので、契約する際には十分注意した方がいいですよ」
上皮内新生物は、大腸の粘膜や子宮頚部にできることが多く、他のがんでも初期の段階で上皮内にできることがある。放置すればがん化するおそれは高いが、治療すればほとんどの場合は快癒するので、保障対象の保険に加入にしておいた方が安心ということだ。
最初のがん診断への一時金や、入院したときの給付金がついている商品と、そうでない商品もある。万一のことを考えるのは誰しも億劫だが、親族でがんになった人がいるなら、いちど保険商品の種類を確認しておいてもよいのではないだろうか。