企業側の説明責任と健全な運用が欠かせない
ネーミングに使われるのは、友達のフェイスブックの投稿内容だ。ひとり旅の投稿をしていた30代の男性に、ミドリパインフィズ(甘味や酸味を加えソーダで割ったお酒の一種)を勧めてみると、「ミドリおやじ一人旅フィズ」といった具合の名前がつく。
バーで中身の分からない変わった名前のカクテルを頼んでみるお遊びを再現した感じだろうか。タイムラインに投稿された友達が、スマートフォンを空に掲げて乾杯すると、「友達と乾杯しました!」と投稿される。芸が細かい。
友達に勧められたフィズを飲みたくなって、バーに足を運ぶかもしれない。カクテルにはレシピもついているので、自宅用にサントリーのリキュールが少しでも売れれば幸い、といったところだろう。
Graph APIは顔写真や投稿文だけでなく、投稿した写真、チェックインした場所、いいね!したページ、過去に利用したアプリ、参加したイベントなど多くの情報を活用できる。すなわち、ユーザーや友達の行動履歴や趣味趣向に関する情報を、企業に渡すことになる。
企業は、どんな属性の人がどんな服装やどんなカクテルに興味を持ったかを把握することも技術的に可能だ。ユーザーはアプリの利用に際して、何の情報を渡しどの範囲まで公開するかの設定が求められるので、よく確認する必要があるだろう。
企業側も、アプリを利用するユーザー側のメリットともに、企業側のねらいや、Graph APIから使う情報の整合性をきちんと説明しなければ、不信を買うことになる。この分野の発展を妨げないよう、健全な運営をしてもらいたいものだ。(岡 徳之)