「3D」社員に気をつけろ! 横領を正当化する悪魔のささやき

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息抜きのためのグチは必要だけど

   某市の元管理職2名が、徴収した市税延滞金を着服したとして業務上横領罪に問われた裁判が行われている。ともに懲戒免職された身だ。あろうことかこの2人、法廷でお互いに責任のなすりつけあいをしているそうだ。

「確かにやりました。でも、話を持ちかけてきたのはBさんです」
「いや、Aさんが手口を考え出したんですよ」

   2人の心の悪魔は、次のようにささやいたのではないだろうか。

「だって、ものすごくイヤな思いをしてやっとの思いで取ってきたんですから、多少の慰労金はもらったっていいでしょう」「どうせ、徴収できずにあきらめていたカネなんですよ」

   さらに、周囲で公金がずさんに扱われているのを見聞きしていれば、「でも、他の部署でもこのくらいはやってるじゃないですか」と正当化もするだろう。人間の弱さを思い知らされる。

   いざ自分の日常を振り返ってみると、「3D言葉」をつい使っていないだろうか。ときには他人のせいにして自分をなぐさめたくなるし、グチもこぼしたくなるが、間違っても不正の正当化に使ってはならない。悪魔は、人の弱さにつけ込んで誰にでもささやきかけてくる。(甘粕潔)

甘粕潔(あまかす・きよし)
1965年生まれ。公認不正検査士(CFE)。地方銀行、リスク管理支援会社勤務を経て現職。企業倫理・不祥事防止に関する研修講師、コンプライアンス態勢強化支援等に従事。企業の社外監査役、コンプライアンス委員、大学院講師等も歴任。『よくわかる金融機関の不祥事件対策』(共著)、『企業不正対策ハンドブック-防止と発見』(共訳)ほか。
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