先日、「海外アジア就職・視察ツアー」の添乗員として、インドネシアの首都ジャカルタに行ってきました。ジャカルタへは今年に入って3回目なのですが、今回はAKB48の姉妹グループ、JKT48のコンサートに初めて行ってみました。
現在メンバーは24人。インドネシア人の「ローカルスタッフ」に加え、「現地採用」の日本人が1人。今後はそこに2人の「日本人駐在員」(AKBから移籍する高城亜樹さんと仲川遥香さん)が加わる予定です。
9月にできた専用劇場「JKT48シアター」は、ジャカルタの中心地サリナにある最新鋭のショッピングモールの4階。ここで週5回の公演が行われます。
見事に現地化されていた「ヘビーローテーション」
会場に入ると、220人の観客が立ち見も含めてぎっしり。ほとんどが10代・20代の男性インドネシア人です。ダンスは本家より劣りますが、そんなことはお構いなし。YouTubeで予習してきたのか、客席からは息の合った声援が飛び、サイリウムが舞い踊ります。
コール・アンド・レスポンスで客席との距離を縮め、公演終了後のお見送りではメンバー全員とハイタッチ。ジャカルタでも「会いに行けるアイドル」というコンセプトを徹底し、日本流のやり方が忠実に輸出されているといえます。
一方で、現地化の工夫も忘れていません。チケットは平日5万ルピア(400円)、休日10万ルピア(800円)と現地向けの価格帯。パソコンを持っていない人も多く、インドネシア語の携帯メールで予約が取れるようになっています。
驚いたのは、JKT版「ヘビーローテーション」のプロモーションビデオ。インドネシア料理店のテレビでたまたま目にしたのですが、ビデオのストーリーはまさに「ジャカルタあるあるネタ」。入学式に行く途中でバスが渋滞に巻き込まれ、途中でバイクタクシーに乗り換えて何とか間に合うというものでした。
歌はAKBの曲を全てインドネシア語化しており、MCにかなりの時間を使って会場のファンに(言葉は当然インドネシア語で)話しかけていました。
日本のやり方をどう持ち込み、どう適応させていくか
興味深かったのは、「現地採用」のレナ・ノザワ(野澤玲奈)さんの役割です。インターナショナルスクールに在学中で、インドネシア語は片言。そこをメンバーから突っ込まれる様子がファンから愛されており、「レナチャーン」と声援が飛んでいました。
一方で彼女は、JKT48が来日したときには日本語が話せるインドネシア人と共に中心的なメンバーとして振る舞います。ジャカルタでは個性的なキャラクターとして、日本では広報担当のような役割を使い分けているようです。
移籍する高城さんと仲川さんは、レベルの高いメンバーという位置づけに加え、ダンスや心構えを現地のメンバーに伝えるプレイングマネージャーとしても活躍するのでしょう。
現時点ではメンバーは少ないし、インドネシア全体の知名度も低いので、公演は採算ベースにすら乗っていないと思われます。
しかし、スタートアップベンチャーのような小さな世帯ながら、現地採用や駐在員の日本人の力を借りて、現地メンバー中心で現地のファンのために頑張る彼女たちの姿は、「日本企業のアジア進出のひとつの形」ではないかと感じました。
海外進出に興味のある経営者はもちろん、就職先として興味がある人は、これから彼女たちがどのような形で日本のやり方を持ち込み、どの部分を現地化していくのか注目してみると、大きなヒントになるかもしれません。(森山たつを)
※森山たつをさんが2012年10月20日(土)東京・渋谷で、なでしこVoice代表濱田真理さんとトークイベントを行います。「世界で働く女性について話をしよう!」詳しくはこちら (http://morizo2011.blog.fc2.com/blog-entry-136.html)。