ネスレのキットカットが10月7日を「オトナの日」とし、2012年10月1日からキャンペーンサイト「オトナの甘えカタログ」を開設している。「甘え方」と「カタログ」をかけているようだ。
定番ともいえる「おねだり首かしげ」から、かなりうまくやらないと地雷を踏みそうな「上司○○くん呼ばわり」まで、48手の甘え方を紹介している。甘さ控えめなチョコレート商品「キットカット オトナの甘さ」をPRする狙いだ。
甘えながらフォローする「上司○○くん呼ばわり」
「できる部下は甘え上手」とは、よく聞く処世術だ。人間関係に悩む社会人にとって、他人にうまく甘えながら可愛がられることは、興味を呼ぶテーマといえるだろう。
「オトナの甘えカタログ」が掲げる甘え方のカテゴリーは、「お仕事編」「街なか編」や「カップル編」「ファミリー編」など8つの場面で、それぞれ5段階の難易度がついている。
難易度の星1つは、缶ジュースや缶詰のフタを開けてと男性にせがむ「フタ開け手」や、相談事をメールのBCCを使って複数の人に一斉送信する「いっせい相談」など、比較的身近な方法だ。
太っ腹上司のランチにさりげなく合流する「ランチわらし」は星4つ。星5つは、普段はツンとしている女性が赤ちゃん言葉でおねだりする「げっちゅーでちゅー」や、ストレスいっぱいの上司にあえて茶目っ気たっぷりのタメ口で話しかける「上司○○くん呼ばわり」など、高難度の技が並ぶ。
「上司○○くん呼ばわり」を使うのは、上司が場の空気を読まない発言をしたり、渾身のギャグがスベったりしたとき。あえて馴れ馴れしくツッコミを入れることで、自分に矛先を向けさせる側面もある。甘えに見せながら、自分を犠牲にして上司を守っているところが渋い。
ポイントは、普段から丁寧な言葉づかいをしていて、上司にリスペクトが伝わっていることだ。この甘え方には、人気女優の比嘉愛未(ひがまなみ)さんによる「実演動画」がついており、「こんな部下なら許しちゃうだろ!」と思わせるクオリティーになっている。
あえてコミカルに外し、フェイスブックでの拡散を促す
「なるほど、こんな甘え方もあるのか」と感心させられるコンテンツだが、それをソーシャルメディアでまともに他人に紹介するのは照れくさい。「オトナの甘えカタログ」では、その点をコミカルに外すことで拡散しやすい形を採っている。
たとえば「上司○○くん呼ばわり」では、女性のイラストの顔の部分を自分のアイコンに差し替えることができる。「友達に甘えさせてリクエストを送る」でフェイスブックの友達を選択すると、上司の顔の部分が友達に変わる。
女性が男性にリクエストを送ればソワソワしそうなシチュエーションになるし、男性同士でやればシュールな笑いを作れるかもしれない。
なお、甘え方の中には、デートがある日には同僚にチョコを差し入れて定時退社する「よろしくキットカット」というものもあって抜かりない。商品のコンセプトの世界にユーザーを引き入れ、楽しませながら商品を印象づける嫌味のない方法だと思う。(岡 徳之)