臨床心理士・尾崎健一の視点
判断のポイントは「セクハラ行為の有無」になる
きっかけはともかく、セクハラ発言があったことは事実であれば、人事としては通常のルールに則り、懲戒処分など厳正な対応を行うべきだと思います。Aさんの希望にもよりますが、課長の異動も考えられます。そうでなければ、会社がセクハラに対して甘い姿勢であると判断されてしまうからです。なぜ今さら言い始めたのかという点については、「当時は言いにくかった」「不快だったが自分の評価のために我慢していた」という理由もあるかもしれません。仮に低い評価がきっかけで告発したとしても、それが発言の問題を軽減するには値しないでしょう。
このように、信頼関係があるうちは問題にならなくても、それが崩れたときにハラスメントと訴えられることはありえます。今回の件を教訓に、社員には「相手がその場で拒否しようがしまいが、外形的にハラスメントとなるような言動は取るべきではない」と教育しておくべきでしょう。