「まぁ、いいか。1円くらい…」 そんなズサンな管理が横領を誘発する

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「心から反省し、再発防止に努める」と言うのは簡単

   今年8月末に報道された、広島県呉市交通局の市営バス回数券の問題にも耳を疑った。

   呉市が地元企業にバス事業を譲渡するにあたり、金券の在庫を確認したところ、回数券やバスカード約7万枚(約1億8200万円相当)が帳簿残高よりも少ないことが判明した。

   大半は繰越残高の転記ミスや増刷記録の誤記によるものらしいが、公金の管理がこんなにずさんとは…。一事が万事、同市の業務管理全般がいい加減なのではないかと疑いたくなる。

   このような状況では、職員が金券を着服したり横流ししたりしても全く分からない。しかし呉市は、記録が廃棄され実態がつかめないため、被害届などは出さないという。

「出納担当者に任せきりで、チェック体制も機能しなかった。心から反省し、再発防止に努める」

   毎度おなじみのコメントだ。「心から」と言うのは簡単。交通局だけでなく、市のすべての業務を徹底的に見直してもらいたい。

   銀行では、前述のように現金の確認は毎日行い、どうしても金額が合わなければ「現金事故」として本部に報告して損失処理を行う必要がある。この程度の管理は、お金を扱うものとして当然だと思う。(甘粕潔)

甘粕潔(あまかす・きよし)
1965年生まれ。公認不正検査士(CFE)。地方銀行、リスク管理支援会社勤務を経て現職。企業倫理・不祥事防止に関する研修講師、コンプライアンス態勢強化支援等に従事。企業の社外監査役、コンプライアンス委員、大学院講師等も歴任。『よくわかる金融機関の不祥事件対策』(共著)、『企業不正対策ハンドブック-防止と発見』(共訳)ほか。
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