フェイスブックを使って、自社や商品のファンを囲いこみたいと考える企業は多い。費用をかけずにフェイスブックページを作ったり、キャンペーンを立ち上げたりすることは可能だし、「やる気さえあればタダでできる」と助言する人もいる。
しかし現実には、そう簡単な話ではない。フェイスブックページを作っても、告知手段がなければ、いつまでたっても「いいね!」が増えない。結局はバナー広告に多額の費用を投じて、「タダではできない」ことを思い知ることになる。
そんな悩みを抱える企業の担当者は、フェイスブックの「キャンペーンアプリ」の活用を検討してみてはどうだろう。基本的な機能は無料で利用できるものもある。
累計応募件数が250万「クロコス懸賞」
クロコスは、企業のマーケティングを支援するフェイスブックアプリを提供している。その場で当たりハズレが分かる「Crocosスピードくじ」、「いいね!」を押すともらえるクーポンを設置できる「Crocosいいねクーポン」などを展開し、多くのユーザーを集めている。
代表的なアプリは、フェイスブックで懸賞を開催できる「Crocos懸賞」。累計応募件数は、2012年10月5日現在で250万件を突破。現時点で620件を超える懸賞が開催されており、フェイスブックページにはJTBの旅行券やAmazonのギフトカード、QUOカードなどの金券が並んでいる。
出品者は、花屋や葬儀屋、メンズファッションの通販など、さまざま。懸賞に応募するためには、出品者のフェイスブックページの「いいね!」ボタンを押し、利用規約に同意して応募を行う必要がある。
応募すると「ご応募ありがとうございました!」という表示とともに、フェイスブックやツイッターで応募したことのシェアを促す画面が表示される。Amazonギフト券5000円分が2名に当たる「恵比寿花壇」の場合、投稿者経由で応募が3人以上あれば、当選確率は2倍になるという。
賞品は金券だけでなく、化粧品やスイーツなど自社商品を提供するものもある。サークルKサンクスでは、自社の店舗でのみ使える専用プリペイドカード3000円分を賞品にしているが、開始半月ほどで1万人を超える応募を集めている。
「いいね!」を集めたい企業は、一部の機能を除いてクロコスのプラットフォームを無料で使え、有料プランを月6万円程度で利用することもできる。
フォトキャンペーンが人気「モニプラ」
このような懸賞サイトを利用することで、「いいね!」の獲得を増やした会社は少なくない。目に見える成果を上げるために、担当者はこのような支援サービス導入の検討をすべきだろう。
ただし、訪問者を自社のファンとしてつなぎとめる方法を検討しないと、「賞品目当て」の利用者にエサだけ取られて逃げられることになる。通りすがりのお客を優遇しすぎて、本当のファンを白けさせることにも配慮が必要だ。
「懸賞」や「アンケートプレゼント」以外の方法として、同じくキャンペーンアプリを提供するモニプラでは、テーマを決めてユーザーに写真を投稿させる「フォトコンテストキャンペーン」が人気急上昇だという。
インテルが主催する「モテスポットフォト大募集!」は、おすすめのデートスポットの写真を投稿して「USB-a-Man」に教えてあげるという企画だ。ユーザーによる投票で人気の高かった人には、ウルトラブックなどが贈られる。
モニプラにおいて企業が開催するキャンペーンで、1回につき純増するファンの数は平均でおよそ1500人。メガネブランド「JINS」が実施した案件では、1万5000人ものファンを獲得した実績もある。
なお、運営会社のアライドアーキテクツからは利用料金は公開されておらず、キャンペーンの方法や期間に応じて相談する必要がある。(岡 徳之)