「日本人男性の時代」が終わったことに気づくべき
今までは日本に限らず、世界のどこでも男性中心の社会だった。軍事、建設業、製造業といった分野が中心の社会では、男性が主導権を握るのも当然だろう。
日本経済が世界を席巻したのは、第一義的には日本人男性の能力の高さのおかげだと思う。まじめな努力家、完璧主義の職人肌、口下手だが協調性が高い、基礎的学力が備わっているなど。製造業にはぴったりな特性だと思う。
しかし、日本が今後世界で生き抜いていくのには、これだけではだめだ。世界最高峰の技術者を多数抱える日本の電機メーカーが不振に陥っているのは、技術以外の部分が弱いからというのは定説になっている。
販売や広報、ブランド戦略、デザインが勝負を分ける。「質が高く壊れにくいものを作っていれば黙っていても世界中から買いにくる」という時代は終わった。
日本人男性は、海外でも伝統や会社の論理に縛られ窮屈にしている例が多いが、日本人女性は違う。「なでしこジャパン」を例に出すまでもなく、彼女たちはフットワーク軽く、世界のどこにでも飛んでいき、体当たりするだけの度胸がある。言語能力も高いし、社交性もある。
ジャーナリズムの世界を見ても、日本の伝統的な大マスコミは圧倒的に男性優位だが、外資系マスコミの第一線で活躍する日本人には女性が多い。これは偶然ではないだろう。
「女性の時代」と言われて久しいが、いっそのこと企業のトップもマスコミの第一線も、女性に任せてしまってはどうだろう。男性的な論理が支配して行き詰った日本の新たな道を切り拓いてくれるかもしれない。(小田切尚登)