中央日報日本語版によると、サムスングループが2012年9月19日、全職員を対象とした大々的な「飲酒文化改善キャンペーン」の実施を明らかにしたという。
禁止される行為は、「ワンショット(一気飲み)」など3つ。8月28日には、飲み会は「1種類の酒で、1次会で終えて、午後9時前に帰宅すること」を推奨する「119指針」が出されたらしい。
今のままでは「超一流企業として残れない」
禁止行為の1つめ「罰酒」は、飲み会に遅れた人に罰として酒を飲ませること。日本で言えば「駆けつけ三杯」といったところか。2つめの「ワンショット」は「一気飲み」をしたり、他人に強制したりすることである。
3つめの「サバル」は、いわゆる「どんぶり酒」のことで、大きな器に酒を注ぎあうので過度の飲酒につながりやすい。いずれも日本の飲み会でもしばしば見られる光景だが、サムスングループ役員はこれらの行為を強く否定する。朝鮮日報に対し、
「今のような飲酒文化のままでは超一流企業として残れない」
「これからは『サムスンで酒が飲めなければ出世できない』などと言われないようにする」
というコメントを寄せ、「飲酒の悪習」を確実に変えると宣言している。キャンペーンの効果を上げるために、年末までに「節酒誓約書」を全社員に書かせるそうだ。
会社の並々ならぬ意思が感じられるが、それだけ社員たちの間に根強く染み付き、問題となっている慣習なのだろう。ネット上には、サムスンの取引先と思われる日本人が嘆く書き込みも見られる。
「社内だけじゃなくて、取引先にもこれを強要してくるからほんと大キライ。社外に対しても即刻なくしてほしい」
「酒不要な人が圧倒的に増える」予言は現実になるか
とはいえ、「酒を飲むのも仕事のうち」「酒を飲み交わさないうちは仕事仲間と認めない」「酔って記憶を失って一人前」といった価値観は、韓国だけでなく日本の会社にもまだまだ残っている。この手の慣習が耐えられないという若者も少なくない。
J-CAST会社ウォッチの「なぜ社内の人と飲まないといけないのか?」(2008.12.16)という記事には、飲酒を強制する上司に憤る読者から、
「アル中の人は酒飲めない人のこと、わからないですからね。十年後には酒不要な人が、圧倒的に増えるでしょう」
というコメントが寄せられていた。日本メーカーがサムスンを参考にして「飲酒文化改善」を取り入れれば、この「予言」も近いうちに本当のことになるかもしれない。