臨床心理士・尾崎健一の視点
「プライベートは仕事と関係ない」と放置するのは危険
仕事のモチベーションが急に下がったということですが、個人的な病気や家族の問題などプライベートで何かあるのかもしれません。このような状態を放置すると、ミスや事故、不正など会社に損害を与える行為につながるおそれもあります。「プライベートは仕事とは関係がない」と放っておくことは、上司や人事部の責任を放棄することになります。
一方で、本人が望まないのにプライベートな問題に立ち入ることには注意を払うべきです。過度な場合、「パワハラ」と見なされるおそれもあります。従業員支援プログラムや公的窓口など、秘密が守られる形での相談方法について情報提供をしつつ、「何か力になれることがあれば言ってくださいね」と声をかけるだけでも、相手が楽な気持ちになる可能性があります。ただし、脱法行為や命の危険がある兆候が見られる場合には、本人の合意が得られなくても警察に通報するなどそれを止めさせる介入が必要です。
(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。