景気のいいところで働こう! アジアで求人が多い職業とその給料

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   アジア各国では現在、「普通の日本人」つまり欧米留学など特別な経験やスキルを持っていない人にも、就職の門戸が開かれています。今回はそんな人たちが関われる具体的な仕事の種類や給料の相場について紹介します。

   日本人が海外アジアで就職活動をするには、RGF(リクルート)、テンプスタッフ、JACをはじめとする日系の人材会社を使うのが一番リーズナブルですが、ここにきている求人の約9割は「現地の日本企業(日系企業)」によるものです。

クルマと運転手がつくジャカルタの日系企業

アジアのショッピングモールには自動車の展示・販売コーナーがあり、裕福層が購入していく
アジアのショッピングモールには自動車の展示・販売コーナーがあり、裕福層が購入していく

   日系企業が募集する職種は、多種多様です。営業からプロジェクトマネージャー、IT技術者、建築士、コールセンター、日本食レストランのシェフなど、実にさまざまです。

   しかし、すべての仕事に常に求人があるわけではなく、職種によって多いものと少ないものがあります。安定的に多いのは、製造業の営業です。この仕事は自社の製品(部品)を他の日系企業に売る仕事です。

   仕事は現地人スタッフとチームを組んで行いますが、先方の日本人担当者と込み入った話をするとき、やはり日本人の方が信頼しやすいということもあり、日本語が話せる現地人と比べても格段に高い給料を払って日本人を雇う企業が多くあるわけです。

   国ごとに違いはありますが、20代の若手が日系企業に勤める際の一般的な給与は、12万円から20万円の間。日本での大卒初任給と同等か、ひと回り低いくらいです(ただし、コールセンターの給与体系はこれより低くなります)。

   2012年9月現在の超円高で額面的には少なく見えますが、現地の物価を考えれば十二分に生活できるレベルですし、国によっては日本で働くより貯金ができる人も多いです(家賃が東京と同等またはそれ以上のシンガポール・香港では厳しいかもしれませんが)。

   日本人の求人件数が非常に多いインドネシア・ジャカルタでは、月給が手取りで1700USドル(約14万円)以上、しかもクルマと運転手がついてくるという案件が多いです。日本の3分の1以下という物価の低さを考えると、なかなか優雅な暮らしができます。

   働きながら経験を積むことで昇給もありますし、日本での実績をそのまま生かせる高度な職種では、はじめから高給が用意されます。私の場合、シンガポールで、日本での年俸の8割くらいを提示されたことがあります。

探るべきは「長期の安定雇用」ではない道

   日系企業以外の就職先としては、「現地の日本以外の外資系企業」や「現地企業」もあります。ただし求人件数としては、合わせても全体の1割程度。給与の提示額は、外資系企業は一般的に高く、現地企業は低い傾向にあります。

   上記の様に、アジアで海外現地採用として働く場合、日本で働く若い非正規社員と比べれば、金銭面で思いのほか悪くない額がもらえます。日本で正社員としてキャリアを積んでいる人にとっては、給料が大幅に下がることもあります。

   しかし、日本で長年働いていても、景気が悪くなれば給料は下がるし、下手に給料が上がりすぎるとリストラの対象にされやすくなり、会社を辞めた後に立ち直れなくなります。日本以外の国だってそれは同じ。2007年ころに好景気の絶頂だった欧州が5年後にどうなったか? 皆さんご存じの通りです。

   同様に、アジアの好景気も永遠に続くものではありません。ということは、これからの世界で求めるべきは「長期の安定雇用」ではなく、「景気のいいところで働く」ための能力ではないでしょうか。

   この能力があれば「働いている国の経済状況によって就労が困難になっても、別の国で働く」という選択肢が生まれ、外部要因によってもたらされる心配事を減らすことができます。そして、この「能力」の構成要素は、仕事の能力だけではなく、環境の変化に対応し、いろいろな国で生活していく能力でもあります。

   サラリーマンをやっていくときに、自分が他社に転職したらいくら貰えるのかを常に調べておくのは大切ですが、国内企業だけでなく「アジアだったら今いくらだろう」「景気のいいあの国ではいくらか」ということも考えておくといいかもしれません。

   自分の市場価値をいろいろ調べることで、いざという時に自分が取り得る選択肢が増えるからです。世界は広いんです。閉塞なんかしてませんよ!(森山たつを)

森山たつを
海外就職研究家。米系IT企業に7年、日系大手製造業に2年勤務後、ビジネスクラスで1年間世界一周の旅に出る。帰国して日系IT企業で2年勤務後、アジア7か国で就職活動をした経験から「アジア海外就職」を多くの人と伝えている。著書に「アジア転職読本」(翔泳社)「はじめてのアジア海外就職」(さんこう社)がある。また、電子書籍「ビジネスクラスのバックパッカー もりぞお世界一周紀行」を連続刊行中。ツイッター @mota2008Google+、ブログ「もりぞお海外研究所
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