探るべきは「長期の安定雇用」ではない道
日系企業以外の就職先としては、「現地の日本以外の外資系企業」や「現地企業」もあります。ただし求人件数としては、合わせても全体の1割程度。給与の提示額は、外資系企業は一般的に高く、現地企業は低い傾向にあります。
上記の様に、アジアで海外現地採用として働く場合、日本で働く若い非正規社員と比べれば、金銭面で思いのほか悪くない額がもらえます。日本で正社員としてキャリアを積んでいる人にとっては、給料が大幅に下がることもあります。
しかし、日本で長年働いていても、景気が悪くなれば給料は下がるし、下手に給料が上がりすぎるとリストラの対象にされやすくなり、会社を辞めた後に立ち直れなくなります。日本以外の国だってそれは同じ。2007年ころに好景気の絶頂だった欧州が5年後にどうなったか? 皆さんご存じの通りです。
同様に、アジアの好景気も永遠に続くものではありません。ということは、これからの世界で求めるべきは「長期の安定雇用」ではなく、「景気のいいところで働く」ための能力ではないでしょうか。
この能力があれば「働いている国の経済状況によって就労が困難になっても、別の国で働く」という選択肢が生まれ、外部要因によってもたらされる心配事を減らすことができます。そして、この「能力」の構成要素は、仕事の能力だけではなく、環境の変化に対応し、いろいろな国で生活していく能力でもあります。
サラリーマンをやっていくときに、自分が他社に転職したらいくら貰えるのかを常に調べておくのは大切ですが、国内企業だけでなく「アジアだったら今いくらだろう」「景気のいいあの国ではいくらか」ということも考えておくといいかもしれません。
自分の市場価値をいろいろ調べることで、いざという時に自分が取り得る選択肢が増えるからです。世界は広いんです。閉塞なんかしてませんよ!(森山たつを)