2012年9月3日の日刊ゲンダイが「社員にやさしくない会社が生き延びる!?」という記事を掲載している。社員にハードワークをさせるサムスンとアップルは、業績絶好調。両者は特許訴訟でもヒートアップしているが、日本企業は蚊帳の外だ。
一方、日経新聞の「働きやすい会社」調査の上位に名を連ねたソニーやパナソニック、NECやシャープは、いまや大リストラの真っ最中。「休暇が取りやすい」「福利厚生が充実している」「残業が少ない」だけでは、競争に勝つことはできそうにない。
90年代の改革の一環。語学資格取得者が倍増
ただ、サムスンが本当に「社員にやさしくない会社」かというと、そうとも言えないようだ。記事では労働ジャーナリストが「韓国のサムスンは、全社員を朝7時に出社させます」と理由を説明するが、日本サムスンの広報に確認すると意外な答えが返ってきた。
「いまは朝7時出社はやっていませんし、過去の取組みのねらいも違います」
日本サムスンのホームページによると、韓国サムスンが朝7時出社を行っていたのは、1993年に李会長が宣言した「サムスン新経営」のころ。出社時間を早め、夕方4時には社員を退社させる「7・4制」を採用したためだった。
定時になると会社の主電源は切断され、帰宅を余儀なくされる。残業はなくなり、就業時間内に仕事を終わらせようと社員の集中力も高まった。退社後の時間は家族サービスや自己啓発の時間に回り、語学の資格取得者が倍増したという。
このほか、実現されたかどうかは分からないが、「20万人の社員が出退勤時間を変えることで交通渋滞を解消する」といった壮大なねらいも掲げていた。さすがにいまは「4時退社」はないが、当時の取組みは、仕事の生産性を高め、社員の「生活のクオリティー」を高めるために行われていたようだ。