前回、アジア海外就職は、あくまでも「選択肢」のひとつであり、自分にとってのメリットとデメリットを踏まえて判断すべき、と書きました。しかし、よくよく考えてみると、そんな選択肢があること自体、ものすごくラッキーなことなのです。
例えば、タイ人が日本で働くのは非常に難しいです。私が日本の大企業に在籍しているときの経験ですが、現地法人のタイ人を出張で呼び寄せるのでさえ、非常に多くの書類と身元保証が必要でした。普通のタイ人が日本の会社に転職するのは、至難の業でしょう。
30歳派遣OLがアジアで引っ張りだこ
キューバのような国に至っては、国民は貧しく、自由に旅行をすることもできません。働いても働かなくても得られる給料の額は変わらず、そんな社会に嫌気がさしても、外国に行くビザが発給されることはほとんどなく、他国で働くために亡命を企てる人がたくさんいます。
それに比べて日本は、世界のほとんどの国に行ける最強のパスポートを約1万円で手に入れられ、多くの国にビザなしで渡航できます。アジア各国でしたら、働くためのビザも比較的容易にとることが可能です。
私は必ずしも「日本を脱出しろ!」なんてことを言う気はありません。日本でうまくいっていて海外に出る必要性がない人、特に海外に興味がない人は無理に行く必要はないと思います。日本国内で生活基盤を築き、楽しい生活を送るのも素晴らしい人生です。
ただ、日本国内でうまくいっていないけれど、海外で働くことで現状の阻害要因が外れてうまく行きそうな人や、日本の外の市場で色んな国の人と働きたい人にとっては、大きなチャンスが広がっています。
例えば、日本で貿易事務関係の仕事をしていた派遣社員の女性(30歳)。職場で先輩がリストラされるのを見て、日本で働き続ける事が不安になり、ジャカルタに行ってみたところ、貿易関係の求人が殺到。7社からの争奪戦になりました。
場所が変われば、状況が変わる。その「場所を変える」という選択肢があることが、日本人として生まれたことで得られた大きなメリットなのです。