入社半月の社員が「蒸発」 ケータイ通じず、自宅にも帰らない

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社会保険労務士・野崎大輔の視点
「蒸発」した社員を深追いするのは難しい

   無断欠勤のまま行方不明になってしまった社員の居場所をつきとめ、損害賠償を請求することは実務的には困難な場合が多いです。故意や重過失でない限り、業務上のミスについて本人に100%責任を負わせることは難しいですし(上司の監督責任などもある)、自宅に内容証明を送るなどの対応が考えられますが、本人が行方をくらませているかぎり、賠償の見込みはありません。就職する際に提出してもらった「身元保証人」に賠償請求することも考えられますが、請求できる損害の比率は本人よりも低くなります。

   また、懲戒解雇であっても給料を未払いで済ますことはできません。解雇する場合には「公示による意思表示」という裁判所を用いた手続きをしなければなりませんが、かえって面倒ですので就業規則に「行方不明になった日から30日過ぎても連絡がなかった場合は自然退職とする」と定めておき、退職として扱うことも考えられます。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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