社会保険労務士・野崎大輔の視点
「蒸発」した社員を深追いするのは難しい
無断欠勤のまま行方不明になってしまった社員の居場所をつきとめ、損害賠償を請求することは実務的には困難な場合が多いです。故意や重過失でない限り、業務上のミスについて本人に100%責任を負わせることは難しいですし(上司の監督責任などもある)、自宅に内容証明を送るなどの対応が考えられますが、本人が行方をくらませているかぎり、賠償の見込みはありません。就職する際に提出してもらった「身元保証人」に賠償請求することも考えられますが、請求できる損害の比率は本人よりも低くなります。
また、懲戒解雇であっても給料を未払いで済ますことはできません。解雇する場合には「公示による意思表示」という裁判所を用いた手続きをしなければなりませんが、かえって面倒ですので就業規則に「行方不明になった日から30日過ぎても連絡がなかった場合は自然退職とする」と定めておき、退職として扱うことも考えられます。