勤務先に放火して横領隠し… 信じられないホントの事件

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町が監査を抜き打ちで行っていれば…

   軽い気持ちで横領し、それを隠すために職場に平気で火をつけてしまうような人物を、周囲はどう見ていたのだろうか。

「まじめで明るい性格」(元同僚)
「快活な性格で、一生懸命仕事に取り組んでいた。地域の人から信頼され、特に子供たちがなついていた」(全焼した公民館の館長)

   意外に感じるかもしれないが、横領犯は周囲から信頼され、高く評価されていることが多い。見るからに「危ない」人には、そもそもお金の管理など任せないからだ。

   横領は周囲の信頼を逆手にとり、それに背く犯罪である。裏切られた人間は「まさか」「信じられない」と驚き、落胆し、憤る。町の人々のショックは察するに余りある。

   このような犯行を許してしまった町の管理体制にも、大いに反省すべき点はある。横領の発覚を受けて、町では「職員が扱う関係団体の会計処理で複数の職員がチェック」するなど9項目の再発防止策を決めたそうだ。

   複数の職員がチェックしていなかったのは驚きだが、このような基本ができていない組織は少なくないだろう。ダブルチェックはもちろん、経理・会計担当者の長期休暇中の点検や定期的な担当替えも徹底したい。監査を抜き打ちで行っていれば、放火という悲惨な事態を防げたかもしれない。(甘粕潔)

甘粕潔(あまかす・きよし)
1965年生まれ。公認不正検査士(CFE)。地方銀行、リスク管理支援会社勤務を経て現職。企業倫理・不祥事防止に関する研修講師、コンプライアンス態勢強化支援等に従事。企業の社外監査役、コンプライアンス委員、大学院講師等も歴任。『よくわかる金融機関の不祥事件対策』(共著)、『企業不正対策ハンドブック-防止と発見』(共訳)ほか。
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