相手の心理を操る「督促術」 借金を脅さずに返してもらう方法

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滞納者にあえてお礼を言って「褒める」理由

   督促はお客さまが利用した代金の請求なので、「義務感」に訴えるのが上手な同僚もいます。ただ、よほど年配の威厳のある社員がやらないと「お前にそんなこと言われなくても分かってんだよ!」と反発されてしまうので、難しいところです。

   (もしかしたらこの「罪悪感」、使えるかもしれないなぁ) 強く言えないので「恐怖心」も使えない、新米なので「義務感」に訴えることもできない。でも「罪悪感」を使ってお客さまに入金を促すことはできるかもしれない、私はそう考えました。

   お客さまの罪悪感を刺激するために、私が具体的に行ったことは2つ。ひとつは、入金の日時を必ずお客さま自身に決めてもらうこと。もうひとつは、どんな小さなことでもお客さまにお礼を言って褒めることです。

   入金の日時を相手に決めてもらえば、それが破られたときに「お客さまがお決めになった日時でお待ちしていたんじゃないですか~」と相手の罪悪感を刺激することができます。相手を褒めるのは、信頼している気持ちを伝えるため。信頼を寄せてくれた相手を裏切るとき、人は罪の意識を感じます。

「お客さまだったら、きっとご入金いただけると信じてます!」

   こうして私は少しずつですが、「罪悪感」を利用することで履行率を改善していくことができました。

   強く言わなくても、人の心を動かすことはできるのです。もし今、相手に強く言えなくて悩んでいる方がいらっしゃったら、ぜひ別の手立てを考えてみてほしいと思います。まぁ、この方法を使うと性格も少しブラックになってしまうのですが、致し方ないかと思います…。(N本=えぬもと)

債権回収OL・N本(えぬもと)
某金融機関で債権回収部門に所属する20代OL。コールセンターで支払延滞顧客への督促を担当している。入社半年で3億円の回収を達成して頭角を現し、10万件の顧客を担当する精鋭チームに最年少で配属された実績を持つ。他人に強く言えない気弱な性格を逆手にとり、独自の「交渉メソッド」を開発。300人のオペレーターを指導しながら、年間2000億円の債権回収に奮闘している。好きなものは、ビールとスイカ。ブログ「督促(トクソク)OLの回収4コマブログ」。(本コラムは当事者のプライバシー保護のため、一部事実と変えている点があります。)
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