シャープの栃木工場でリストラ対象の社員に取材した「週刊ポスト」(2012.9.14号)の記事に、2ちゃんねらーたちが群がっている。小学生の子どもがいる30代後半Aさんが、
「地元ではシャープに入れば一生安泰だといわれてきた」
「描いていた人生設計が完全に狂ってしまいました」
と深いため息をついた、という描写に、こんな厳しいツッコミが殺到している。
「甘い」「さすがに30代でその考えはないわ」
「いくらなんでも(頭の中が)お花畑すぎるやろ」
「自分が先を読めなかっただけ」「自己責任」
別の男性は「俺と同じ30代の発言とは思えない」と呆れている。
「入社したときには、すでにリストラが当然の社会だったはずだ。俺なんて通貨が円じゃなくなるレベルまで想定して、ひたすらリスク回避して、自己責任で対応可能な範囲の選択を重ねて生きてるのに」
自らの不幸を会社のせいにするAさんの嘆きにも、「他人に責任をなすりつけるような言い草」「自分が先を読めなかっただけ」といった冷ややかな反応が見られる。
山一證券の自主廃業から15年。現在30代後半のAさんは、そのころすでに成人を迎えていたはずである。記事はマスコミが好む悲劇仕立てだが、「ロストジェネレーション(失われた世代)」と呼ばれる今どきの30代には、あまり響かないようだ。
「NECとシャープに共通する点って何?」という唐突な質問に、
「ぬるま湯体質、事なかれ主義、横並びでOK」
と答えた人もいた。「この会社なら一生安泰」と信じる社員が増えれば、逆に会社は活力を失い、衰退のスピードを速めてしまうということだろう。その後も、
「こういう社員がシャープをダメにしたのが分からないのか?」
「地元でそう言ってた人を恨めよ」
などと突き放す書き込みが続き、相変わらず同情の声はほとんどない。