ロイターが「英国で社員旅行がブームの兆し」(原題「Holidaying with the boss」)という動画ニュースで、英国の設計会社フィヨルド社の社員旅行を紹介している。
会社のジェット機で、1週間ほどアイスランドを訪問。社員は美しい峡谷の風景を楽しみながら、ホエールウォッチングをしたり、オットセイのいる海でカヤックを漕いだり、馬に乗って山間トレッキングを楽しんだりする。会社はこの旅行に約10万ポンド(1230万円)を投入しているが、「現金払いの賞与よりも好評」だという。
参加者「ありのままの自分でいられる」
旅行に参加できるのは、2年以上勤務している社員のみ。6つの事業所に分かれて働く社員たちの親睦を兼ねている。旅行を企画した会社創設者は、
「社員に特別で思い出深いものを何かあげたかった。日常と全く違った場所への旅行は、本当の意味での気分転換になる」
と述べ、この体験が仕事にも活かされると説明する。参加した社員も、
「旅行先の環境もしっかりしていて、自然に恵まれていた。みんなと一緒に休暇を過ごすのも悪くはなかった」
と満足気に答えている。こんな旅行を年に2回も行っているという。ただし英国ならではの特徴もありそうだ。会社創設者や社員からは、
「行く行かないは自由だし、ありのままの自分でいられる」
「ある一定の振る舞いが強要されるところへ行ったわけではない」
「協調性を養成するような場面はない」
といった言葉が繰り返し聞かれる。上司や同僚たちと旅行することへの違和感を抱きつつ、自分が望まない行動を強要されることに敏感になっている。それでも多くの社員は、非日常の時間や空間を共有する効果を認めて参加しているようだ。
やっぱり「時代錯誤も甚だしい」のか
このほかニュースでは、英不動産会社がラスベガスに社員旅行に行ったり、米グーグルが従業員のためにスキーリゾート地を予約したという情報を紹介している。
かつて日本でもよく行われていた社員旅行だが、若い世代を中心とした「日本的慣習」への拒否感からか、今ではほとんど見られなくなった。
J-CAST会社ウォッチの記事「社員旅行が嫌です『断る理由を教えてください』」には100件ものコメントが集まっている。読者の中には、会社が企画したイベントには「絶対参加すべきでしょう」「親睦を深める行為は決してムダではない」という声がある一方で、
「社員旅行なんてものは、昭和時代の遺物でしょ。いつまでこんなくだらんことにカネと時間を使っているのだろう。時代錯誤も甚だしいわ。経営者のセンスを疑うね」
と激しく拒否反応を示す人もいる。2800票以上集めた記事中の「ワンクリック投票」でも、約8割が「社員旅行に行きたくない」と答えている。このような人たちは、フィヨルド社のような社員旅行であっても同じように否定的に捉えるだろうか。