「君は31歳じゃなかったのか?」 会長秘書を年齢詐称で解雇したい

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臨床心理士・尾崎健一の視点
実績を評価して「時効」としてもいいのでは

   私は、懲戒解雇はもちろんのこと、退職勧奨もすべきではないと思います。法律は「募集・採用における年齢制限の禁止」を義務付けていますが、その趣旨は求職者個々人の能力や適性を判断し、働く機会を均等に与えることです。Aさんのような能力や経験のある人に働いてもらえないのは、会社としても望ましくないはずです。

   仮に会長が秘書に対して「会社の看板」であることを求め、容姿や若さを求めていたとしても、年齢だけで機械的に切るのはどうでしょうか。実際、Aさんは1年間業務を問題なく執り行っており、会社の要求・期待に応えてきた実績が存在するわけですから、入社時の「年齢詐称」は時効として不問とされてもいいと思います。会長に対しても、これまでの「年齢制限」を緩和するよう人事から提言できないものでしょうか。コンプライアンス面でのリスクが高いことも見直しの根拠になります。


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(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
尾崎健一:職場でうつの人と上手に接するヒント
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