社会保険労務士・野崎大輔の視点
懲戒解雇は難しいが異動や退職勧奨はありうる
今回のケースでは、懲戒解雇は難しいでしょう。経歴詐称を理由とした懲戒解雇が有効かどうかは、次のような項目で判断されます。「真実を伝えていたら採用しなかったと思われる重大な経歴詐称かどうか」「企業秩序維持を困難にさせる可能性があるかどうか」「採用決定の判断において労働力の評価を誤らせたかどうか」「就業規則に定めがあるかといったこと」等々。いずれも学歴や職歴、犯歴の詐称で判断されることが多く、年齢詐称の場合は難しいのではないでしょうか。入社時の社会保険の手続きなどで年齢を確認できるので、会社にも落ち度があったといえるでしょう。
とはいえ、Aさんの年齢詐称は、面接時には真実を述べるべきであるという「信義誠実の原則」に違反していますので、何らかの処分は下せるのではないでしょうか。秘書という仕事柄、会長との信頼関係が不可欠であることから、異動や退職勧奨もありうると思います。