国民とマスコミが「正しいデューデリジェンス」をすべき
55年体制の崩壊以降、「政党M&A」の歴史とも言えるほどの離合集散が繰り返されてきました。現政権の民主党も、結党時は旧民主党、民政党、新党友愛らの合併によって現民主党が結成され、さらに自由党の吸収を経て3年前に政権を奪取し、今に至っている訳です。
ところがここに来て、旧自由党の小沢一郎一派が「国民の生活が第一」を結成して民主党を脱退。残った議員の一部も、大阪維新の会に移りたい姿勢がありありです。政権奪取こそしたものの期待された実績を上げる前に、民主党は著しい内部分裂状態に陥っています。
企業がM&Aをする前には、相手の会社の中身を精査する「デューデリジェンス」という作業をします。政党M&Aの場合、この作業は基本的に各政党が戦略的に考えることですが、彼らを当選させた国民の意思が十分に反映されてしかるべきでしょう。
大阪維新の会と手を組みたがっている政党は、果たしてビジョン共有ができているのか。それはどんなビジョンなのか。単に議席数を増やし、国会勢力拡大だけを狙った短期的利益追求型ではないのか。こういった項目が、デューデリジェンスの対象となるわけです。
我々は前回の失敗を踏まえて、いまどきの「モノ言う株主」と同じ姿勢で、正しいデューデリジェンス(政党の批判的検証と投票行動)を行う必要があります。
マスコミも、権力闘争のために離合集散を繰り返す議員たちをあおって視聴率争いをするのではなく、国民の視点で確固たる政策を掲げ、結束して長期的に粘り強く闘う勢力を形成するような報道をしてもらいたいものです。(大関暁夫)