職歴のない既卒者やフリーターを対象に、企業への就職をサポートする「ホンキの就職」。リクルートがCSR(企業の社会的責任)活動の一環として取り組む無料プログラムだが、4日間のプログラムを受けた人の6割以上が内定を獲得するなど、成果が上がっている。
自力では就職が難しかった人たちが、なぜ就職できたのか。2011年度にプログラムに参加し、あるネット企業に就職を果たしたMさんに話を聞いた。
業界研究でターゲット変更。正社員採用を獲得
Mさんは29歳の男性。大学卒業後、アルバイト経験が1年半ほどあるが、それ以降は仕事をせずに実家に引きこもっていたという。新卒時には人並みに就職活動をしてみたが、結局どこからも採用通知を得ることができなかった。
月に5件程度の応募を続けていた時期もあったが、書類選考で落ちたり面接でうまく話せなかったりを繰り返すうちに、自信も意欲も失ってしまった。
しかし、30歳を前にして、リクルートの求人媒体を見て「ホンキの就職」を知ったとき、このままではダメだと感じ、何か手掛かりを得たいと思ったという。
「これまで自己PRや志望動機の作り方に自信がなかったので、これを教えてもらえれば就職に近づくのではないかと考えました。あと、面接で思うように話すことができずに落ちていたので、人と話すことに慣れる練習を受けてみたいと思いました」
希望の業界はIT業界と決めていたが、これまでは大手や有名ベンチャー、ゲーム制作会社しか受けていなかった。しかし、大手などはもちろん、ゲーム業界は小さな会社でも人気があり、若くしてスキルが高い人たちもいてハードルが高かった。
そこで、規模や知名度にこだわらず視野を広げた活動に路線を変更し、最終的には従業員規模20人、設立10年のネット企業にプログラマーとして正社員採用されることになった。
「29歳で正社員経験がないなんて甘えているんじゃないか、こだわりが強すぎてすぐ辞めてしまうんじゃないか、と思われる不安がありました。そこで、会社が抱いているかもしれない不安を解消し、信頼に変えていくことを面接で心がけました」