「仕事運」に振り回されない人は、どん底まで落ちることはない

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クライアント志向の地道な仕事が実を結ぶ

   一方で不景気にあっても、派手さはないものの、普段の地道な仕事ぶりが認められるケースもあります。Aさんと同じ会社の後輩のBさんは、クライアントに無理のない提案を旨としてやってきました。社内では、

「そんなクライアントは捨ててさ、もっと大きい仕事を狙ってよ」
「大きな売り上げを強引に提案する馬力がないな」

と冷ややかに見られていたそうです。ところがある日、長年丁寧にフォローしてきたクライアントから「ぜひともあなたにお願いしたい仕事があるんだけど」とコンペ参加の要請がありました。

   ライバル2社は、自社とは比べ物にならない大企業。どうせ当て馬だろう、という社内の噂も気にせず、Bさんはいつもと同じクライアント志向の提案書を持ってプレゼンに望みました。ライバルも手を込んだ企画を出してきたようですが、結果はBさんが受注に成功。

「これまでの仕事ぶりも踏まえて判断しました。期待していますよ」

と感動的な言葉をいただくことになりました。Bさんはその仕事を成功させた後も、Aさんのように浮き足立つことなく地道な仕事を続け、クライアントで大きな仕事が発生したときは確実に食い込む営業を積み重ねているそうです。

   自分が得た幸運を、どのように活かすか。運を実力と勘違いした人は、天国と地獄を行ったり来たりすることになることでしょう。しかし目の前の結果で一喜一憂せず運に振り回されない人は、どん底まで落ちることはありません。「運気アップ」ばかり追求して、楽をしようというのも考えものです。(高城幸司)

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
「高城幸司の社長ブログ」
株式会社セレブレイン
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