残業45時間超が3か月続いたから「会社都合で辞めます」って!?

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社会保険労務士・野崎大輔の視点
過度な残業で「職場における事情による離職」となる

   正確には「会社都合」ではありませんが、A君の主張は認められるでしょう。失業保険の受給手続きの際に「特定受給資格者」と認められると、会社都合と同じように支給条件が優遇されます。おもに倒産や解雇などによりやむなく離職した人が該当しますが、「解雇等により離職した者」の中には「離職の直前3か月間に連続して労働基準法に基づき定める基準に規定する時間(各月45時間)を超える時間外労働が行われたため(略)離職した者」という項目もあるのです。

   これに対応する離職票の離職理由は「解雇」ではなく、「労働者の判断によるもの」の「職場における事情による離職」となります。ハローワークがA君の退職を「労働条件に係る重大な問題(賃金低下、賃金遅配、過度な時間外労働、採用条件との相違等)があったと労働者が判断したため」と認めれば、会社に照会した上で「特定受給資格者」となります。月45時間を超える残業が3か月以上続くと「過度な時間外労働」となるからです。これを認めることで会社の負担が増えるわけではありませんが、無用なトラブル回避のため、離職票のチェックは慎重にすべきです。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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