真似はできないが参考にする方法はある
イケアの店舗では、販売員が商品説明をするために積極的に話しかけてくることは基本的にない。商品のコーディネート例がブースごとに並んでいて、それを見ながら買い物客はイメージを膨らませていく。カタログ上でもそんな押し付けがましくない「接客」を受けられる。
イケアは以前からARを使ったユニークな取組みをしていた。2009年版のカタログでは、同封されたARマーカーを床に置き、スマホの画面をのぞいてみると、自分の部屋に家具が出現するという、まるで映画に出てくるような仕掛けを施した。紙のカタログとスマホを組み合わせることで、そんな「体験」ができるのである。
これらの技術は、おそらくいろいろな業種で応用が利くと思われる。ただ、リッチな動画の制作やアプリ化には多大なコストがかかり、どの会社でも真似できるわけではない。まずはYouTubeなどに商品説明の動画を置き、カタログにURLを記載して閲覧するところから始めてもいいのかもしれない。
数年前に、テレビCMからネットへ誘導するために「続きはウェブで!」という言葉が流行った。紙のカタログを配布して情報を見てもらい、付加情報をデジタルで入手してもらう「続きはスマホで!」戦略は、まだまだ開発の余地がありそうだ。(岡 徳之)