意識や視点が変わると断られても落ち込まない
高城幸司(たかぎ・こうじ)セレブレイン代表取締役社長。リクルートの通信・ネット関連営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。J-CAST会社ウォッチで「『稼げる人』の仕事術」を連載中。近著に『入社1年目を「営業」から始める君へ』(日本実業出版社)
高城 私は営業の後、『アントレ』という雑誌を創刊して自ら編集長になり、入社時の希望を半分果たすことができました。でも、編集をやってみると仕事の多くは営業なんですね。営業という仕事からキャリアを始めて、本当によかったと思いました。
大関 私も営業の実績を積んでから、本社の広報担当になったのですが、広報もまさに営業です。そもそも社内営業を含めて、待ちの姿勢で済む仕事なんてありませんけど。
高城 ところで「営業は自分を売っている」という言葉がありますが、私はこれを僭越な考えと思い始めています。そういう意識は会社の教育や管理を否定しますが、それでは人を育てられないし組織としても成長できない。
大関 しかし「モノを売っている」というのも不十分でしょう。
高城 では、どう考えればいいかというと、「自分は会社を背負っている」という意識が必要なのではないでしょうか。営業は、自分の会社の社長のつもりでお客さんに接して欲しいと思います。
大関 実際に客の立場としても、どんな営業でも会社の代表として接しますからね。将来は経営者や管理者になりたい人であれば、そういう意識は不可欠です。逆に会社員が嫌で、将来フリーランスになりたい人にも経験が役立ちます。
高城 経営者であれば、誰もが普通に営業をしているのに、サラリーマンの営業職になると、とたんに営業ができなくなる。「ボクやりたくないです」なんて言い出す。これはおかしな話ですよね。お客さんから「君の会社の方針は?」と質問されたら、堂々と「我が社では…」と答えてほしい。そうすれば、会社のことに関心が持てるようになるし、知識が身につければ、相手が社長だろうがなんだろうが自信を持って応対できる。
大関 やらされ感では営業はできないですし、そんな営業に当たったお客さんもたまったものではない。
高城 意識や視点が変わると、お客さんに断られたときにも落ち込まずに済みます。「僕がこんなに一生懸命話しているのに、聞いてくれないお客さんって、逆にかわいそうだよなあ。いいですよ、今日は帰りますけど。でも残念だなあ」なんて(笑)。当事者意識を持って、いかに営業を楽しくやっていくかは、自分なりの工夫が必要です。