臨床心理士・尾崎健一の視点
妊娠中は服薬調整もあり得る。産業医にスケジュールを相談
野崎さんの指摘はよく分かりますが、退職勧奨までいくと双方の間で摩擦が生じるリスクが高まります。会社として「半年後の休職が前提の復職では都合がよくない」「産休に入るまで休職を継続する方法も検討してほしい」とAさんに事情を説明し、一緒に考える姿勢を示すことが必要でしょう。
なお、メンタルヘルス不全が原因の休職明けで、元と同じ仕事にいきなり復帰するのは現実的ではありません。「調子がいい」といっても、症状に波があって復帰後に悪化するおそれもあります。再発防止のためにも、復帰時には業務量の軽減と勤務時間を短縮してスタートし、段階的に復職させるプランを立てることが重要です。そうこうしているうちに、1か月から数か月かかります。また、妊娠中はメンタルヘルス疾患の服薬が調整されることがあり、それによって治療方法が変更になる可能性もあります。どのようなスケジュールで復職させるのか、あらためて産業医や主治医に確認した方がよいでしょう。
(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。