「管理の不在」が営業という仕事をつまらなくしている
大関暁夫(おおぜき・あけお)スタジオ02代表。「青山カレー工房」などの事業オーナーと企業コンサルティング、埼玉・熊谷の街おこし「くま辛」など多忙な日々を過ごす。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。J-CAST会社ウォッチで「営業は難しい〜ココを直せばうまくいく!」を連載中
大関 若い人たちの営業に対する嫌悪感の源は「恐怖」でしょう。会社で何も身につけることなく、いきなり客先に放り出されることへの恐怖感がある。それを減らすためには、営業にも他の仕事と同じように、基本的な教育や、自社のやり方に関する最低限のマニュアル整備はいりますね。
高城 僕らのときは「1日100件電話しろ!」と言われるとイヤな気がしたのですが、今の若い人は真面目に取り組みます。ただ、組織内の問題があって、きちんとした管理や教育ができていないところが多い。バブル崩壊やリーマンショックによる採用減やリストラの影響で、世代間の断絶があるのです。
大関 それと、管理というと言葉が悪いですが、会社はきちんとしたプロセス管理、行動管理をすべきです。管理の不在が、営業という仕事を訳の分からない、つまらない仕事にしてしまっている。
高城 核家族化も進んでいるわけですから、いきなり知らないおじさんのところに行って話をして来いと言ったって、できませんよね。営業の仕事は広範囲にわたり、あいまいなところもあります。最終的に求められているのは「結果」であり「数字」なんだけど、結果を出すためにやるべきことを棚卸しし、行動を徹底させることが必要です。
大関 お客さんの傾向も時代によって変わりましたね。
高城 昔は上司が怖くて、お客さんは優しかった。でも今は、社内の厳しさが減った代わりに、お客さんが厳しくなっています。何を買うときにでも会社に不利益を与えることができなくなって、「なぜこれを買ったのか」という合理的な理由が厳しく求められます。その影響が営業にも及んでいます。
大関 確かにバブル崩壊以前には、お客さんが今ほど合理性を求めないところがありました。顔見知りや縁故で商談が決まったり、訪問して雑談しながら「これ置いていきますね」なんていうだけで買ってもらえたりした。
高城 今でいえば「内村、金メダル獲りましたね。すごいですね」と言っているうちに、「あ、そういえばいいところに来た」「ちょうどよかった」と言って御用を頼まれるようなものです。
大関 「御用聞き営業」「出会い頭営業」ですね。でも今は、説明を受けて十分理解し、比較して合理性が見出せなければ購入に至りません。