「生産性が大事」と使用を許す会社もある
「事故を起こさないこと」と「渋滞を起こさないこと」。こんな理由ならS子も納得するかと思い報告すると、彼女はまるで分かっていないという顔でかぶりを振った。
「じゃあ、N君のところは、なぜ許可してると思う?リスクがゼロじゃなくても、仕事の生産性の方が大事だからよ。実際、N君は『スカイプなんか、セキュリティもネットワークの負荷も問題ないに決まっている。技術に詳しくないやつほど騒ぐんだ』と言っているわ」
ウェブ制作会社を経営するN君の会社では、使いたいアプリがあると管理者に要望を出し、審査に合格すると「○○アプリの使用を許可します」と全社員に連絡が来るという。要望を出さなくても、使えるアプリのリストが更新されることも。個別に申請して許可を取るS子の職場とは似て非なる手続きだ。
まあ、N君の会社は小さなベンチャーで、Uさんのところみたいな大きな会社とは警戒の度合いも違うのだろうけど。あと、クラウドサービスだとデータが消えちゃうリスクもあったりするし。
それでも、S子は納得しない。「ゼロリスクなんて言ってたら仕事にならない。これじゃ『管理栄えて、現場しぼむ』だわ。こういう不満がもとで、有能な人からフリーになっていくんだから」と睨みつけられてしまった。おー怖い怖い…。(池田園子)