社会保険労務士・野崎大輔の視点
「労使協定」を締結しているはず。人事で確認が必要
まず「サポート感謝金」天引きの根拠となる労使協定を確認しましょう。労働基準法には「賃金の全額払いの原則」があり、会社は社員の給与・賞与から勝手に天引きをしてはなりません。天引きが認められるのは、(1)税金や社会保険など法律で定められているもの、(2)労使協定で控除することが決められているもの、の2つだけです。もし見つからなければ、あらためて締結しておかないと不当な天引きとみなされるおそれがあります。
しかし労使協定を結べば何でも控除できるわけではなく、「社会通念上妥当か」ということも判断されます。妥当かどうかは、民事上の争いとなったときに判断されます。「サポート感謝金」は、懇親を目的としたパーティとしては妥当とも思えますが、負担が一部の社員に偏りすぎていることを考えると、天引きではなく会社が負担する方がよいのではないでしょうか。賞与の原資を使い、個々の支給額を決める前にパーティ費用を除いておくことも考えられます。