ボーナスから5万円拠出しろ!? 本部長の叱責に若手が不満募らす

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   オリンピックのメダリストが、インタビューに「私ひとりの力で(メダルが)獲れたわけではない」「みんなのおかげです」と答えている。心からの感謝の言葉だろうが、もしもこういう発言を他人から強制されたら、きっと不快に思ってしまうだろう。

   ある会社では、上期に金メダル級の活躍をした若手営業マンが、謝恩パーティのためにボーナスから5万円を強制的に天引きされて、不満を募らせている。

この会社の伝統…。「みんなのおかげ」もあるけれど

――中堅商社の人事です。我が社では慣例として半期に一度、営業部門主催の「謝恩パーティ」を開いています。

   会の資金は、営業マンのボーナスの一部から拠出しており、インセンティブ部分の3%を「サポート感謝金」という名目で支給前に天引きしています。

   おそらくサポート部門に対し、営業マンがお礼を示す趣旨でパーティが始まったためではないかと思われます。このことについて先日、営業のホープのA君から「サポート感謝金って、多すぎないですか?」と苦情を受けました。

   A君は上半期の成績がトップクラスによく、天引きも5万円と予想以上に多くなったようです。営業マンだけが天引きされることにも納得していません。この不満を職場の先輩に話したところ、本部長の耳に入ってしまったそうです。

「このパーティは、この会社の伝統なんだよ。お前、自分の力だけでここまで来れたと思ってるのか?そりゃ大きな勘違いだ。みんなのおかげで成績が上げられたという、感謝の気持ちを忘れるんじゃないよ!」

   本部長はA君を叱責し、納得できないA君が人事にやってきたというのです。

   何となく問題がありそうですが、私が入社するずっと前から行われていることで、部内にも詳しい事情を知る人がいません。こういうときは、どこから手を着ければいいのでしょうか――

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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