労組がある会社の方が「上限」が長いナゾ
試しに「週60時間」に52週をかけて、12か月で割ると260時間となり、258時間に近くなる。いずれにしても、実態は計算上の数字とは異なっているようだ。
「上限200時間」の大日本印刷にも取材したところ、この上限は「役員運転手」を対象とした特別な協定であり、一般従業員に適用されるものではないという。
「役員運転手は、拘束時間は長いのですが、待機時間も長く、過労死が発生したということもありません。2012年4月には労使協定を改定し、月80時間にまで上限を引き下げています」
少なくともこの2社については、食事の時間もないほどの激務が連日続くという実態はないようである。ただ、ネット上には「労使協定も結ばずに残業させる会社は山ほどある」「残業すれば残業代が出る大手は恵まれている」など、中小零細企業で働く人たちの恨み節も見られる。
また、労働組合がある会社の月上限平均(約93時間)の方が、労組がない会社の平均(約64時間)より長いことを指して、「社員を守らない御用組合は役に立たない」といった批判の声もあった。