大ブームとなった「タニタ食堂」に影響されるように、社員の健康に配慮したメニューを提供する社員食堂が増えている。野菜をたくさん摂れるようにしたり、カロリー計算ができるようにするなど、各社でさまざまな工夫をしている。
日本マイクロソフトの「One Microsoft Cafe」も、そんな社員食堂のひとつだ。管理栄養士が考えた「おすすめメニュー」を提供する健康プログラムを実施したところ、2か月で7キロ減ってベルトの穴が2つ縮まるという、素晴らしい記録を出した社員もいたという。
品川本社の19階に設けられた「おしゃれカフェ」
「One Microsoft Cafe」は、2011年2月に東京・品川本社の19階に開設。都内5か所に散らばっていた拠点を統合した、およそ1400平方メートルの大スペースである。
社内で働く約2500人の従業員の6割は、自分の席を持たない「フリーアドレス制」。広い食堂内は、業務スペースや打ち合わせスペースを兼ねており、懇親会やイベントが開催されることもある。
ITという仕事柄、従業員は終日座ったまま仕事をする人も多く、運動不足になりがちだ。そこで会社として食生活の見直しによる従業員の肥満改善を図るために、2012年の5月と6月、期間限定で特別メニューを提供することにした。
ランチは「デリスタイル」で、野菜中心ながらボリューム満点のメイン料理が3種類、それにサイドディッシュが5種類、ライスが3種類、スープが2種類。このほか、カレーと丼もの、うどんが1種類ずつ。すべて日替わりで提供される。
すべてのメニューに、9種類の野菜が入ったサラダがついており、1日の目標野菜摂取量の3分の2を食べることができるようになっている。
この日は「彩り野菜の黒豚酢豚」と「焼き茄子とみょうがの生姜ポン酢」「キャロットフレンチマスタード」を試食させてもらった。酢豚はお肉がジューシーで、濃厚なあんが絡んでいる。焼き茄子にはさっぱりしたポン酢がマッチしていて、とてもおいしい。
カラフルな食器は「ル・クルーゼ」で統一
調度品のおしゃれさにも目を奪われる。とてもオフィスビルにいるとは思えない。会社の中に、自社専用の「おしゃれカフェ」を誘致した、と説明した方がピッタリくる。
営業時間は、午前8時から午後8時まで。ランチは午前11時から午後2時まで、比較的安価で食べられる。ランチタイム以外にはカフェメニューがあり、夜はアルコールも出る。
カラフルな食器は、すべてフランスの「ル・クルーゼ」製で統一。見た目にも鮮やかだ。メニュー開発を担当する管理栄養士の吉川さんは、
「食べ物の彩りを豊かにすると、自然とバランスのよい食事になります。おすすめメニューでそのことを実感していただいた社員は多いようです」
と特別メニューの効果を語る。今回の取り組みが予想以上に好評だったため、今後も形を変えて続けていく予定だ。
食堂のレシピは、『日本マイクロソフトの社員食堂 野菜たっぷり!デリレシピ63』(キラジェンヌ刊)にまとめられ、7月27日に発売になった。今後、Windows 8対応の電子書籍としても発売を予定しているそうだ。(池田園子)