企業のウェブキャンペーンが「おもしろおかしい系」に走る理由

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社長「提案を一切訂正せずにリリース」

   このサイトへのフェイスブック「いいね!」は1000を超え、ツイッター投稿も700近くにのぼる(2012年8月6日現在)。ソーシャルメディア上で情報共有が広がり、アクセスを誘導したと見られる。やはり口コミねらいには、ジョークが強い。

   ジョーク仕立てにする事前の不安はあったが、ターゲットとなる30~50代のユーザーに訴求するには、この方法が一番よいと最終的に判断した。とはいえ、やはり問題も起こったようだ。

「『年収1000万円以下の人を蔑むようなことはやめろ』というお叱りを3件いただきました。お客さまには、あくまでもキャンペーンのためのジョークサイトであり、会社としてお客さまを年収で差別はしていないと深くお詫び申し上げました」

   ちなみに坂口氏は、自身もサラリーマン時代からこれまで年収1000万円を超えたことがないことをブログで明かしている。

   このようなサイトを立ち上げる際に、どういう点に注意すべきだろうか。坂口社長はブログに、重要なヒントとなる一文を書いている。

「こういったジョークページは振り切らないとつまらないものになってしまうので、今回はご提案いただいた企画を一切訂正しないでリリースしました」

   企業ウェブキャンペーンといえば、デイリーポータルZの「ハトが選んだ生命保険に入る」(2009年7月)が有名だ。ライフネット生命の出口治明社長とともに真夏の河川敷でハトを呼び寄せ、豆を食べた皿に書かれた金額の保険に加入する企画だ。結局、ハトは「2000万円」の皿を食べ、「ハトは賢い!」と感激する出口社長の好感度が急上昇した。

   ネットユーザーの好むコンテンツは、必ずしも「誰もが嫌わない内容」とは限らない。それでも部下の提案を信じてOKを出す社長の度量の広さが、この手の企画成功には欠かせないのだろう。(岡 徳之

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