営業のあいさつなどで、得意先に自己紹介をしなければならない場面があります。そんなとき、つい自分のアピールポイントを探して、相手に伝えようとしてしまいます。
採用面接のときには、当然このアプローチでよいのですが、それ以外の場面では、これが逆効果になることが少なくありません。場面に応じて、相手が聞きたい内容を話すように気をつけましょう。
そんなつもりはなくても、相手はそう思ってしまう
中途採用で、中堅部品商社に転職したAさんは、自己紹介での失敗をよく覚えています。彼は有名私大を卒業して、大手総合商社に入社。上司との人間関係がうまくいかず、転職を決意しました。
リーマンショック後だったこともあり、希望の大手への転職を果たせず、前職より規模の小さな会社に入社しました。そして取引先にあいさつをしに行ったとき、これまでの仕事について簡単に紹介したつもりでした。
「前職では、海外業務にも関わっていました」
「前職時代の人脈で、財閥系の法人にはそれなりの顔が利きます」
しかし取引先は、そんな実績を評価してくれるどころか、苦々しい顔をするばかり。「そんな話より、具体的な特技を教えてくれる?」と突っ込まれ、「そんなに前職がいいなら、戻ればいいんじゃないの?」と嫌味を言われてしまいました。
Aさんは、自分に何ができるかを話したつもりですが、取引先にとっては、ただ大きな会社に勤務していた自慢話にしか聞こえなかったようです。Aさんは返す言葉がありませんでした。
人というのは、他人の自慢話を嫌うものです。そんなつもりがなくても、他人が自分の強みを話していると、「こいつは自慢をしているな」と思ってしまいます。そうすると、相手にいい印象をもってもらうことができません。なかなか難しい問題です。